発電機とポータブル電源はどちらを選ぶ?|屋内で使えるかどうかで、ほぼ決まります

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停電の備えを調べていると、ポータブル電源と発電機のどちらを買うべきかで迷う場面が出てきます。発電機のほうがパワーがあって安そうに見えるので、そちらに傾く方もいると思います。

この記事では、両方の実際の仕様を並べて比べます。結論から書くと、一般的な家庭の停電対策では、多くの場合ポータブル電源のほうが条件に合います。理由は出力でも価格でもなく、もっと手前にあります。

結論:家の中で使えるかどうかで、ほぼ決まります

図:この4点で判断できます

  • 発電機は屋内で使えません 排気に一酸化炭素が含まれるため、公的機関が屋内使用を明確に禁じています
  • 出力はポータブル電源が上回ることがあります 「発電機のほうがパワフル」とは限りません
  • 重量も価格も、この2機種ではポータブル電源のほうが有利 思い込みと逆の結果でした
  • 発電機が勝つのは「長期間」だけ 燃料を継ぎ足せる分、停電が長引くほど強くなります

停電が数日で復旧する地域で、屋内で使いたいなら、発電機を選ぶ理由はほとんど残りません。

決定的な違い:発電機は屋内で使えない

まずここが分かれ目です。発電機はエンジンを回して発電するため、排気ガスに一酸化炭素が含まれます

製品事故を調べている国の機関(NITE・製品評価技術基盤機構)は、2023年8月29日の注意喚起で次のように書いています。

屋内では絶対に使用しないでください。発電機運転中の排ガスには一酸化炭素が含まれており、屋内で使用すると一酸化炭素中毒になるおそれがあります。

屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等以上の危険性があります。

NITE(製品評価技術基盤機構)「停電時の発電機による CO 中毒や、復旧後の通電火災に注意!」令和5年8月29日

図:発電機を使ってよい場所(NITEの注意喚起より)

  • 屋内は不可 窓を開けても条件は変わりません
  • 自動車の中・テントの中も不可 「屋内と同等以上の危険性がある」とされています
  • 屋外で、出入口や窓などの開口部から離れたところ 排気が室内へ逆流しないように
  • 屋外で、風通しの良いところ

停電した自宅で使うなら、屋外に置いて室内へ延長コードを引く形になります。

この条件を並べると、集合住宅では置き場所そのものが確保しにくいことが分かります。ベランダは屋外に見えますが、窓や隣の住戸に近く、上の条件を満たしにくい場所です。

ポータブル電源は内部にバッテリーを持っているだけなので、排気は出ません。室内でそのまま使えます。

数字で比べる

家庭向けとしてよく挙がる2機種で比べます。発電機はカセットボンベで動くタイプ(ガソリンの保管が要らない分、家庭では扱いやすい方)を選びました。

項目 発電機(Honda エネポ EU9iGB) ポータブル電源(Jackery 1000 New V3)
屋内使用 不可(公的機関が禁止)
定格出力 0.9kVA(100V・9.0A) 1500W(瞬間最大3000W)
重量 19.5kg 約10.6kg
価格(税込) ¥131,340(希望小売) ¥72,468(セール中・通常¥109,800)
連続して使える時間 燃料を足せば継続可(ボンベ2本で約1.1〜2.2時間) 1024Wh分で打ち止め(充電すれば再使用可)
動作音 あり(後述) ほぼ無音
始動 手動(リコイルスターター) ボタン
使用できる温度 5℃〜40℃ -10℃〜45℃
燃料・電源の備蓄 カセットボンベを備蓄 事前に充電しておく

2026-08-16に各メーカー公式サイトで確認した数値です。価格はセールや改定で変わるため、購入前に販売ページでご確認ください。

意外だったところ:出力も重量も価格も逆だった

「発電機のほうがパワフルで安い」と思っていると、この表は意外に見えると思います。この2機種では、定格出力・重量・価格のすべてでポータブル電源のほうが有利でした。

特に出力です。Jackery 1000 New V3の定格1500Wのほうが、エネポの定格0.9kVAを上回っています。電子レンジやドライヤーのような消費電力の大きい家電を動かしたい場合、むしろ発電機のほうが足りなくなることになります。

図:定格出力の比較(各メーカー公式値)

発電機 Honda エネポ EU9iGB

0.9kVA(100V×9.0A)

ポータブル電源 Jackery 1000 New V3

1500W

kVAとWは厳密には別の単位です(力率によって実際に取り出せるWは変わります)。ただし比べる目安としては、この差はそのまま「動かせる家電の幅」の差になります。

もちろん、発電機にはもっと出力の大きい機種もあります。ただしその場合、重量と価格はさらに上がります。

音の話

発電機はエンジンで動くため、作動音があります。エネポの公式仕様では音響パワーレベルで79〜84dB(1/4負荷〜定格負荷)と記載されています。

この数値は耳元で聞こえる音量とは別の指標(機械そのものが出す音の総量を表すもの)なので、そのまま「79dBの騒音」と受け取らないでください。国土交通省の「超低騒音型」の指定も受けており、発電機としては静かな部類に入ります。

それでもエンジン音は出ます。夜間、住宅が近い場所で回すことをためらう場面は出てきます。ポータブル電源にはこの問題がありません。

それでも発電機が向く場合

ここまでポータブル電源寄りに読めると思いますが、発電機が明確に勝つ条件があります。

図:どちらを選ぶか

発電機が向く条件

  • 停電が数日以上続く地域(燃料を足せば使い続けられます)
  • 屋外に置ける場所がある(一戸建て・作業スペースなど)
  • 屋外での作業に電気を使いたい
  • 燃料を備蓄・管理することに抵抗がない

ポータブル電源が向く条件

  • 屋内で使いたい(ここが決定的です)
  • 集合住宅にお住まいで、屋外に置き場所がない
  • 停電が1日程度で復旧する地域
  • 普段使い(キャンプ・車中泊)も兼ねたい
  • 動作音を出したくない

発電機の本質的な強みは「燃料がある限り発電し続けられる」ことです。ポータブル電源は容量で打ち止めになります(ソーラーパネルがあれば日中に充電できますが、天候に左右されます)。

停電が1週間続くような想定をしていて、屋外に置き場所があるなら、発電機を検討する意味は出てきます。

備蓄という観点で見ると

どちらを選んでも、置いたままにしておくと、いざというときに使えません。

図:どちらを選んでも要る手入れ

1

発電機:燃料を備蓄する
カセットボンベ式は、ガソリンと比べて劣化に強く長期保管に向くとされています(Honda公式)。ただし本数の管理は要ります
2

発電機:ときどき動かす
エンジンなので、長期間放置すると始動しにくくなることがあります
3

ポータブル電源:残量を保つ
空のまま放置も満充電のまま放置も避けるのが一般的です。半年に1度は残量を確認します
4

共通:一度使ってみる
停電の最中に初めて説明書を読むことにならないよう、平常時に一度動かしておきます

「買って置いておけば終わり」にならないのは、どちらも同じです。

ポータブル電源の容量の決め方はポータブル電源は防災用に何Wh必要?家電別に計算する早見表に、機種選びはJackery Explorer 1000 New V3 と EcoFlow DELTA 3 Classic を比較にまとめました。

エアコンを動かしたい場合は、どちらでもありません

「停電中もエアコンを使いたい」という目的の場合、ポータブル電源でも家庭用の発電機でも現実的ではありません。据え付けの蓄電池の領域になります。詳しくは戸建ての停電対策|蓄電池の見積もりで迷わないための4つの準備と、夏の停電でエアコンは動かせる?に書きました。

こんな方には向かないかもしれません

図:この記事の内容が合う人/合わない人

別の記事のほうが合います

  • 必要な容量(Wh)の計算方法を知りたい
  • ポータブル電源のメーカー・機種で迷っている
  • エアコンを動かしたい(蓄電池の話になります)

この記事の内容で足ります

  • 発電機とポータブル電源のどちらを買うか決めたい
  • 発電機のほうが安くてパワフルだと思っていた
  • 集合住宅で発電機が使えるか知りたい

よくある質問

Q. ベランダなら発電機を使えますか

A. おすすめできません。NITEの注意喚起では、屋外であっても「出入口、窓など開口部から離れたところ、かつ、風通しの良いところ」で使うよう求められています。一般的なベランダは窓に接しているため、この条件を満たしにくい場所です。

Q. 発電機のほうが安いと思っていました

A. 機種によります。今回比べた2機種では、発電機(¥131,340)のほうが高く、ポータブル電源(¥72,468・セール中)のほうが安い結果でした。発電機は本体に加えて燃料の費用も継続的にかかります。

Q. 両方持つ必要はありますか

A. 一般的な家庭では必要ないと考えます。まず屋内で使えるほうを1台用意し、停電が長引く地域にお住まいで屋外に置き場所がある場合に、発電機を足すかどうかを考える順番が現実的です。

Q. カセットボンベ式とガソリン式は何が違いますか

A. 燃料の扱いやすさが違います。Honda公式では、カセットボンベはガソリンと比べて劣化に強く長期保管に適していると説明されています。家庭で備蓄する前提なら、この違いは効いてきます。

まとめ

図:この記事の要点

  • 発電機は屋内で使えない(NITEが明確に禁止)。ここがほぼすべてを決めます
  • 出力・重量・価格は、この2機種ではポータブル電源が上回った。思い込みと逆でした
  • 発電機が勝つのは「停電が長引いたとき」。燃料を足せば使い続けられます
  • 集合住宅では、発電機の置き場所自体が確保しにくい
  • どちらも「買って置いておく」だけでは使えません。平常時に一度動かしておきます

まず「屋内で使いたいかどうか」を決めてください。それだけで、選択肢はほぼ1つに絞られます。

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このサイトを書いている人

防災備蓄おじさん/防災備蓄ナビ

2011年の東日本大震災で両親が被災し、1週間を車の中で過ごしました。当時、実家には備蓄が何もありませんでした。それをきっかけに、東京の自宅と実家で同じものを備蓄し、気づいたことを共有してきました。その過程で分かったことをまとめています。

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