避難所と車中泊で眠れない理由|硬さより先に効くのは「床からの冷え」

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避難所でも車の中でも、多くの人が「眠れなかった」と言います。理由を床が硬いからだと考えて、厚いマットを探しはじめる方が多いのですが、順番が違います

先に効くのは断熱です。この記事では、なぜそうなるのかと、避難所と車中で要るものがどう変わるかを整理します。

結論:柔らかさより先に、床から離すこと

図:寝るための備えは、この順番で考える
  • ①床からの冷えを断つ ここができていないと、厚さを足しても眠れません
  • ②体が沈まない程度のクッション 柔らかさは二番目です
  • ③平らにする 車の中では、これが最大の問題になります
  • ④収納したときの大きさ 置けないものは、結局は買っても使いません

①と③は道具を選べば解決します。②は好みの幅が大きいところです。

順番に意味があります。①を飛ばして②から入ると、高いマットを買っても寒くて眠れません。

なぜ床から冷えるのか

体育館の床も、地面も、車の床も、体より温度が低く、しかも熱を伝えやすいという共通点があります。横になると接している面積が大きいので、そこから体温が逃げていきます。

空気を暖めるのとは別の問題です。毛布を上にかけても、下から逃げる分は止まりません。「上に何枚かけたか」ではなく「下に何を敷いたか」で変わります。

季節も関係します。夏でも、明け方の体育館の床や車内は冷えます。「寒い時期の話」と考えないほうが安全です。

敷くものの、3つの選び方

種類断熱クッション収納向いている場面
アルミの断熱シート小さいまず1枚持つならこれ。軽く、リュックにも入ります
エアマット小さい空気を入れる手間はありますが、厚みのわりに収納が小さい
コット(簡易ベッド)大きい床から完全に離せます。避難所で長くなる場合に効きます

アルミの断熱シートは、値段のわりにいちばん効きます。1枚あるかないかで変わるので、他を検討する前にこれを入れておいてください。

まず1枚を選ぶなら、価格が最も分かりやすい判断材料になります。

コットは床から完全に離すという点が他と違います。冷えだけでなく、床のほこりからも距離が取れます。ただし組み立てる場所と、しまう場所が要ります。ワンルームだと置き場所のほうが問題になることがあります。

置き場所を確保できるなら、床から完全に離せるコット(簡易ベッド)が選択肢に入ります。

段差を埋めたあとに敷く断熱・クッションには、車中泊向けに厚みを持たせたインフレーターマットが向きます。

段ボールも断熱に使えることが知られています。避難所で手に入る場合は、床とマットの間に敷くと差が出ます。備えとして買っておくものではありませんが、覚えておくと現地で使えます。

避難所と車の中で、要るものが変わる

図:避難所/車の中

避難所

  • 床が硬く、冷たい(体育館の床)
  • 周りに人がいるので目線をさえぎるものが要る
  • コットが効く。床から離せて、下に荷物も置ける
  • 照明が消えない場合があるためアイマスク

車の中

  • 平らにするのが最大の問題(座席の段差)
  • 窓からの視線と光。カーテンか目隠し
  • コットは入らない。段差を埋めるものが要る
  • エンジンを切ると温度が変わる

同じ「寝具」でも、必要なものが違います。両方を想定するなら、共通して使えるアルミの断熱シートを先に用意して、そのあとで自分がどちらになりそうかを考えてください。

集合住宅にお住まいで、建物が無事なら自宅にとどまる形が多くなります。その場合は普段の布団がそのまま使えますので、この記事の備えは優先度が下がります。

車の中は、平らにするのが先

図:車中で寝る準備
1
座席を倒して段差を見る
完全に平らになる車種は多くありません。どこに段差が残るかを見ます
2
段差を埋める
クッション、たたんだ毛布、荷物。専用のマットでなくても埋まります
3
その上に断熱を敷く
順番が逆だと、段差の上でシートがずれます
4
視線と光をさえぎる
窓の目隠し。夜間の照明と、朝の日差しの両方に効きます

一度やってみると、自分の車で何が足りないかが分かります。当日に試すことになるのが、いちばん困ります。

「フルフラットになる」と書かれていても、実際には傾きや隙間が残ることがあります。一度、実際に横になってみてください。10分で分かります。

なお、車中で長く過ごすことについては公的機関が注意を呼びかけています。体への影響と具体的な注意点は、お住まいの自治体や厚生労働省の情報を確認してください。この記事では扱いません。

備えている理由

このサイトを書いている者の両親は、2011年の東日本大震災で被災し、1週間、車の中で過ごしました。当時、備蓄はありませんでした。

その経験から、いまは東京の自宅と実家で同じものを備えています。同じ中身なら「あれは使えた」「これは要らなかった」がそのまま通じるためです。詳しくは実家の親に防災の備えをさせるに書きました。

買う前に確認する4項目

図:注文前に見るところ
  • 収納したときの大きさ 置き場所に入るか。ここで失敗すると使われません
  • 使うときの大きさ 車内で使うなら、座席を倒した長さと幅を測っておきます
  • 耐荷重 コットは表示があります。荷物も載せるなら余裕を見ます
  • 空気の入れ方 手動か、電動か、口で膨らませるか。停電中に電動だけだと使えません

4番は見落としやすいところです。電動ポンプ専用だと、電源がないときに膨らませられません。

とくに収納したときの大きさを先に見てください。防災用品は使う日まで置いておくものなので、置けるかどうかが実用性を決めます

こんな方には向かないかもしれません

図:この記事が役に立つ人/後回しでよい人

後回しでよい

  • 集合住宅で、建物が無事なら自宅にとどまる想定
  • 水・食べ物・簡易トイレがまだ揃っていない(そちらが先です)
  • 置き場所がまったくない

用意する価値がある

  • 車で移動・待機する可能性がある
  • 木造で、揺れたら外に出る想定
  • 小さな子どもや高齢の家族がいる(床で寝るのが特に負担になります)

まだ基本が揃っていない場合は、家族4人の防災セット一人暮らしの防災グッズは最低限これだけを先にご覧ください。寝具は、水と食べ物とトイレのあとです。

よくある質問

Q. 寝袋があれば足りますか

A. 寝袋は上と横は覆えますが、下に敷く分は別です。中綿が体重で潰れると、その部分の断熱は落ちます。寝袋の下にもう1枚敷くのが前提だと考えてください。

Q. コットとエアマット、どちらを買えばいいですか

A. 置き場所で決めてください。コットはかさばりますが、床から離せて下に荷物も置けます。収納に余裕がなければエアマットです。どちらも、まずアルミの断熱シートを持ってからで構いません。

Q. 車中泊用のマットは、避難所でも使えますか

A. 使えます。ただし車の座席の形に合わせた製品は、平らな床では余ることがあります。両方で使う前提なら、形が単純なものを選ぶほうが融通がききます。

Q. 家族の人数分そろえる必要がありますか

A. 断熱シートは人数分あったほうがよいです。軽くて場所も取りません。コットやエアマットは、置き場所と相談してまず1つから始めても構いません。

まとめ

図:この記事の要点
  • 眠れない原因は硬さより冷え。「上に何枚か」ではなく「下に何を敷いたか」
  • 最初の1枚はアルミの断熱シート。軽く、値段のわりにいちばん効きます
  • 避難所はコット、車の中は段差を埋めるもの。要るものが変わります
  • 車は一度、実際に横になってみる。「フルフラット」でも傾きが残ることがあります
  • 収納したときの大きさを先に見る。置けないものは使われません

全部をそろえる必要はありません。まずアルミの断熱シートを人数分。そこから始めれば十分です。

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このサイトを書いている人

防災備蓄おじさん/防災備蓄ナビ

2011年の東日本大震災で両親が被災し、1週間を車の中で過ごしました。当時、実家には備蓄が何もありませんでした。それをきっかけに、東京の自宅と実家で同じものを備蓄し、気づいたことを共有してきました。その過程で分かったことをまとめています。

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