日本が戦争に巻き込まれたら何が止まる?国の想定は3日分、自給率38%から逆算した備蓄リスト

屋根に太陽光パネルのある戸建ての庭先で、ソーラーパネルに繋いだポータブル電源と、米・水・カセットボンベ・缶詰を並べて備蓄している様子 防災セット

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日本が戦争に巻き込まれたとき、家庭で先に困るのは「値段が上がること」ではなく「入ってこなくなること」です。国の資料で見ると、日本の食料自給率はカロリーベースで38%、エネルギー自給率は15.3%。一方で、国民保護のパンフレットが家庭に求めている備蓄は3日分です。

この記事は、その差を埋める順番で、備蓄しておくものを提携先のリンク付きで並べたものです。値上がりに備える買い方はヨーロッパで戦争が起きたら何が値上がりする?2022年に上がった順に買っておく備蓄品リストに分けてあり、こちらは供給が止まる前提で書いています。

結論:止まる順に、止まらないものへ置き換える

何が止まりやすいか、何日分か、どこで揃えるか

順番 止まりやすいもの 根拠(公的資料) この記事の目安 揃え先
1 主食(米は止まりにくい) 米の自給率99%。小麦は16% 米は数週間分+水で戻せる主食 安心米/楽天
2 水 国民保護パンフ:3L×3日=9L 1人1日3L×7日以上 ふじざくら命水/楽天
3 油・大豆・肉 油脂類4%、大豆24%、畜産物17% 油3か月、大豆製品・缶詰1か月 楽天
4 電気 エネルギー自給率15.3%(G7最低) 冷蔵庫と通信を止めない容量 Jackery/EcoFlow
5 家の電力を自前で 石油の民間備蓄義務は70日 太陽光+蓄電池の見積もり 一括見積もり3社
6 燃料 2022年に国家備蓄を初めて放出 カセットボンベ8〜10本/週 楽天
7 トイレ・衛生 断水・物流停止で真っ先に品薄 1人1日5回×7日 スツーレ
8 防護(マスク・手袋・雨がっぱ) 国民保護パンフが列挙 家族分 楽天
9 避難用一式・テント 国民保護パンフの非常持ち出し品 1セット+目隠し ディフェンドフューチャー/沢田テント
10 ペット・贈る備え 環境省の同行避難の考え方 専用バッグ/カタログギフト Paws&Prep/LIFEGIFT

この記事の基準

国民保護のパンフレットは「3日分が目安」、内閣府の災害の備えは「1週間分以上」です。輸入が止まる事態は3日で終わらないので、この記事では食料は1か月、水は1週間以上、電気は「充電し続けられる手段」を上限の目安にしています。一度に揃える必要はありません。上から順に、月に1項目ずつで構いません。

備蓄しておくもの|止まりやすい順

提携先のリンクを優先して置いています。根拠の数字はリストのあとにまとめました。

1. 主食|米は止まりにくい。小麦は止まる

農林水産省の令和6年度の数字で、米の自給率は99%。国産で回っているので、輸入が止まっても米は残ります。一方、小麦は16%、パンや麺は輸入小麦が土台です。主食は米に寄せて、火と水が使えない日のためにアルファ米を足します。

水だけで戻せる長期保存の主食(安心米)

国民保護パンフレットが備蓄品に挙げている「ご飯(アルファ米)4〜5食分」に当たるものです。5年前後の保存で、お湯がなくても水で戻せます。戻し方は非常食は水だけで作れる?アルファ米の戻し時間・必要水量・選び方に。

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無洗米

研ぐ水が要らないので断水中も炊けます。精米は味が落ちるので5kg×2袋を回す形が現実的です。

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2. 水|1人1日3リットル。国の想定は3日、ここでは1週間以上

国民保護パンフレットの備蓄品は「飲料水9リットル(3リットル×3日分)」です。断水と物流停止が重なると3日では足りないので、7日分=1人21リットルを下限に置きます。4人家族なら84リットルです。

ウォーターサーバー(定期配送で常に予備がある状態にする)

富士山の天然水を定期配送するふじざくら命水。次のボトルが届く前提で使うので、家に常に未開封の水がある状態が作れます。届いたボトルをそのまま備蓄に回せます。

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長期保存水(5年)

サーバーを置かない方は長期保存水を土台に。期限の回し方は備蓄水の賞味期限、切らさずに回す方法|長期保存水と普段の水の使い分けに書きました。

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3. 油・大豆・肉|自給率が一桁から2割台のもの

農林水産省の品目別の数字では、油脂類4%、大豆24%、畜産物17%(畜産物は輸入飼料を差し引いた値)。食用油、味噌・醤油・豆腐の原料、肉と卵は、輸入が止まると数か月で細ります。2022年に食用油が+35.1%上がったのも同じ理由です。

食用油

未開封で1〜2年程度。揚げ物・炒め物で必ず減るので3か月分を置いても無駄になりません。

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大豆製品・肉魚の缶詰

高野豆腐、乾燥大豆、味噌、さば缶、ツナ缶、焼き鳥缶。たんぱく質は缶詰と乾物で1か月分。

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4. 電気|自給率15.3%。止まったときに冷蔵庫と通信を保つ

エネルギー白書2025は、日本のエネルギー自給率を2023年度時点で15.3%、G7で最も低いとしています。燃料の輸入が細れば発電も細ります。家庭でできるのは、止まったときに冷蔵庫と通信を保つ容量を持ち、日中に充電し直せる手段を足すことです。

ソーラーパネル(充電し続けるための手段)

電源だけでは1回使い切りで終わります。日中に充電し直せて初めて「電気の備蓄」になります。

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5. 家の電力を自前で|戸建てなら太陽光と蓄電池を見積もる

長期化を本気で想定するなら、ポータブル電源では足りません。戸建てにお住まいなら、屋根の太陽光と家庭用蓄電池で、停電が続いても日中の電気と夜の最低限を自前で回せます。相場は施工会社で大きく違うので、一括見積もりで比べるのが先です。見積もり前に揃える4つは戸建ての停電対策|蓄電池の見積もりで迷わないための4つの準備にまとめました。

太陽光発電・蓄電池の無料一括見積もり

3つとも無料で、複数社の見積もりを並べて相場を知るためのものです。契約は急がなくて構いません。

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6. 燃料|民間備蓄義務は70日。家庭ではボンベに置き換える

石油備蓄法は、石油会社に70日分の備蓄義務を課しています。国家備蓄も別にあり、2022年には制度創設以来初めて国家備蓄が放出されました。国の備蓄は流通を保つためのもので、家庭のガソリンや都市ガスが平時どおり届く保証ではありません。家庭で置き換えられるのはカセットボンベです。

カセットコンロとカセットボンベ

岩谷産業の試算で2人分の食事に1日0.6〜0.7本。家族4人・1週間で8〜10本。製造から約7年以内に使い切ります。

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7. トイレ・衛生|物流が止まると真っ先に消える

断水と物流停止が重なると、トイレの袋と凝固剤は店頭から真っ先に消えます。1人1日5回×7日で35回分が下限。計算の早見表は簡易トイレは何回分いる?家族の人数と日数で計算する早見表、断水時に流していいかの確認は断水したトイレの流し方|流す前の確認手順と、流せないときの携帯トイレの使い方に。

非常用トイレ(個包装・凝固剤つき)

防災士監修のスツーレ。1回ずつ個包装なので残りが数えられ、家族や近所に分けられます。10回セットから。

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紙製品・生理用品・おむつ

代わりがきかないもの。当事者が普段使う銘柄を普段の2〜3倍。

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8. 防護|国民保護パンフレットが列挙しているもの

国民保護のパンフレットには、化学剤・生物剤・核物質が用いられた場合として「手袋、帽子、ゴーグル、雨ガッパ等を着用するとともに、マスクや折りたたんだハンカチ・タオル等を口及び鼻にあてて避難する」とあり、これらを備えておくよう書かれています。特別な装備ではなく、家にあるものの延長です。

マスク・使い捨て手袋・雨がっぱ・ゴーグル

家族分を1袋にまとめて玄関へ。雨がっぱは上下分かれたものが動きやすい。

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9. 避難用一式・テント|持ち出す側の備え

国民保護パンフレットの非常持ち出し品は、携帯用飲料水・食品・貴重品・ヘルメット・軍手・懐中電灯・衣類・毛布・携帯ラジオと予備電池・救急用品・常備薬などです。持っていない方は防災セットで一度に揃え、足りない分を足すほうが早く形になります。明かりの選び方は防災用の明かりは懐中電灯とランタン、両方いる?必要な個数とルーメンの目安に。

防災セット39点(持ち出し用の土台)

防災士が中身を選んだセット。リュック・ラジオ・ライト・救急用品が一度に揃うので、あとは人数分の水と食料とトイレを足すだけです。

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テント・目隠し・防災用品

車中や屋外で過ごす場面、トイレの目隠し。防災用品とアウトドア用品を同じ店で揃えられます。

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10. ペットと、離れて住む家族の分

ペットの分は人の備蓄に含まれません。優先順位の付け方はペットの防災、何をどれだけ備える?|環境省が示す「持ち出す優先順位」で考えるに。離れて住む親には、物を送るより本人が選べるカタログギフトのほうが続きます(防災グッズのプレゼントは何がいい?|相手の備えが分からないときの選び方とカタログギフト)。

ペット用防災バッグ

キャリーと一緒に運べる設計の専門店。フード5日分と水を先に。

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防災カタログギフト

贈る側が中身を決めなくていい。相手の家に足りないものを本人が選ぶ形です。

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根拠1|国民保護パンフレットが家庭に求めている備え

内閣官房の国民保護ポータルサイトにある「武力攻撃やテロなどの緊急事態から身を守るために」の第5章「日頃からの備え」に、家庭向けの品目が載っています。

数日間を自足できるようにするための備蓄品(3日分が目安)

品目 量の目安
飲料水 9リットル(3リットル×3日分)
ご飯(アルファ米) 4〜5食分
ビスケット 1〜2箱
板チョコ 2〜3枚
缶詰 2〜3缶
下着 2〜3組
衣類 スウェット上下、セーター、フリースなど

見てのとおり、これは避難するまでの数日をしのぐ量です。パンフレット自身も「地震などの災害に対する日頃からの備えとして」紹介されているものが「武力攻撃やテロなどが発生し避難をしなければならないなどの場合においても大いに役立つ」と書いています。輸入が止まって物流が細る事態は、この3日の外側にあります。

根拠2|食料自給率38%。品目で見ると、止まるものがはっきりする

農林水産省が2025年10月10日に公表した令和6年度の食料自給率は、カロリーベースで38%、生産額ベースで64%。同じ資料の品目別(カロリーベース)を並べると、何が国産で何が輸入かが見えます。

品目別の自給率(カロリーベース・令和6年度・農林水産省)

品目 自給率 止まったときの影響
米 99% 国産で回る。主食の土台
野菜 75% 比較的残る。ただし肥料は輸入依存
魚介類 47% 半分が輸入
砂糖類 32%
果実 27%
大豆 24% 味噌・醤油・豆腐・油の原料
畜産物(輸入飼料分を除く) 17% 肉・卵・乳製品は飼料が止まると細る
小麦 16% パン・麺・粉もの
油脂類 4% 食用油はほぼ輸入

米だけが99%で、油は4%。主食を米に寄せ、油と大豆製品と缶詰を厚くするという順番は、この表から出ています。

根拠3|エネルギー自給率15.3%と、石油備蓄の仕組み

資源エネルギー庁のエネルギー白書2025は、「日本は、エネルギー自給率は2023年度時点で15.3%であり、G7各国で一番低い水準」と書いています。石油については石油備蓄法で石油会社に70日分の備蓄義務があり、国家備蓄(約4,300万kl)とは別に産油国との共同備蓄もあります。2022年のウクライナ侵攻の際には、国家備蓄制度の創設(1978年)以来初めて国家備蓄石油が放出されました。

国の備蓄は「家庭に届く」ことを約束しません

備蓄は発電所や物流を止めないためのもので、平時どおりガソリンスタンドに並び、都市ガスが来る保証ではありません。家庭でできるのは、電気を自分で作って貯める手段(太陽光・蓄電池・ポータブル電源)と、火を自分で持つ手段(カセットボンベ)を先に持っておくことです。

根拠4|「値上がり」と「止まる」は、備え方が違う

ヨーロッパで戦争が起きた2022年、日本で起きたのは値上がりでした。食用油+35.1%、電気代+20.0%、小麦の売渡価格+17.3%。このときの買い方はヨーロッパで戦争が起きたら何が値上がりする?2022年に上がった順に買っておく備蓄品リストに書きました。

日本が当事者になると、値段の前に輸入と物流そのものが細る可能性があります。同じ品目でも、あちらは「上がる前に3か月分」、こちらは「止まっても回る形」。米に寄せる、電気を自前で作る、水を定期配送にする、という置き換えが加わるのはそのためです。

買ったあと|置き場所と回し方

回すための3つの決まり

こんな方には向かないかもしれません

前提が合わない場合

よくある質問

Q. 戦争が起きなければ無駄になりませんか

なりません。ここに並べたのは、地震や台風の停電・断水でも同じように使うものです。国民保護のパンフレットも、災害の備えがそのまま役立つと書いています。

Q. シェルターは要りますか

この記事では扱っていません。国民保護のパンフレットは屋内退避と避難施設を案内していて、家庭に求めているのは3日分の備蓄と非常持ち出し品です。まずそこからです。

Q. 1か月分は多すぎませんか

食料の1か月分は上限の目安で、最初から揃える必要はありません。国の3日分→内閣府の1週間分→1か月分の順に、月に1項目ずつ足してください。

Q. 米はどれくらい置けばいいですか

精米は1〜2か月で味が落ちます。5kg×2袋を常に置いて回すのが現実的で、それ以上は無洗米より長期保存のアルファ米で持ちます。

Q. 太陽光と蓄電池は、見積もりだけでもいいですか

構いません。3社とも無料で、相場を知ってから決めるためのものです。契約を急かされたら、その会社は外してください。

まとめ

この記事の要点

  • 日本が当事者になると「値上がり」より先に「止まる」。食料自給率38%、エネルギー自給率15.3%、国民保護の想定は3日分
  • 止まりにくい米に主食を寄せ、止まりやすい油・大豆・肉は缶詰と乾物で1か月分
  • 水は1人1日3L×7日以上。定期配送なら常に予備がある状態になる
  • 電気は「貯める」だけでなく「作り続ける」手段まで。ポータブル電源+ソーラー、戸建てなら太陽光+蓄電池の見積もり
  • 燃料はカセットボンベに置き換える。トイレ・紙製品・防護具は物流が止まる前に
  • 一度に揃えない。月に1項目ずつ、上から順に

起きるかどうかは分かりません。分かっているのは、何が国産で何が輸入かと、国が家庭に求めている量です。その2つだけで、順番は決められます。

この記事で確認した一次情報

  • 内閣官房 国民保護ポータルサイト「武力攻撃やテロなどの緊急事態から身を守るために」第5章 日頃からの備え……備蓄品3日分の目安と品目、非常持ち出し品、化学剤等の場合の装備(2026年9月21日確認)
  • 農林水産省「令和6年度 食料自給率について」(2025年10月10日公表)……カロリーベース38%・生産額ベース64%、品目別の国産供給熱量と供給熱量
  • 資源エネルギー庁「エネルギー白書2025」第1部第2章第1節、第2部第7章第1節……エネルギー自給率15.3%(2023年度)、石油備蓄義務70日、国家備蓄約4,300万kl、2022年の国家備蓄放出
  • 総務省統計局「2022年平均消費者物価指数の動向」……食用油+35.1%ほか(根拠4)
  • 岩谷産業「ご存じですか?カセットボンベの備蓄目安」……1日あたり必要本数の試算

このサイトを書いている人

防災備蓄おじさん/防災備蓄ナビ

2011年の東日本大震災で両親が被災し、1週間を車の中で過ごしました。当時、実家には備蓄が何もありませんでした。それをきっかけに、東京の自宅と実家で同じものを備蓄し、気づいたことを共有してきました。その過程で分かったことをまとめています。

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